• 2022.02.18
  • IT資格

IT認定資格が必要なわけ

IT認定資格関連コラム~第1回~

今回は、当社がゴールドパートナーとして活動しているCompTIA日本支局マーケティングディレクターの吉村睦美様からのコラムをご紹介いたします。今後数回にわたり、IT認定資格の必要性や導入時の注意点、知識を維持してパフォーマンスを高めるポイントなど、について解説していただきます。












CompTIAはITの業界団体

はじめまして。
CompTIAでマーケティングを担当しています吉村と申します。
CompTIAの名前はたまに聞くけどあまり詳しく知らない・・という方も多くいらっしゃると思いますので、改めて、CompTIAのご紹介をしたいと思います。

CompTIAは、1982年に発足したグローバルで活動をするITの業界団体です。米国シカゴに本部を置き、グローバルでは10拠点があります。CompTIA日本支局は、その中の一つで2001年から活動をしています。
CompTIAの最も重要なミッションは、IT業界が継続的に発展していくための支援を行うことです。そのために必要となる業界の調査活動やコミュニティ活動、そして人材育成活動を行っています。
CompTIA日本支局では、人材育成活動を中心に様々な企業や学校機関の支援を行っています。

CompTIAの詳細については、ぜひこちらのサイトもご参照ください。 CompTIA日本支局

私自身は、約20年間、様々な形で人材育成、IT認定資格に関連する仕事をしてきました。今回のコラムでは、数回にわたり、人材育成の現状や課題、そしてIT認定資格の効率的な使い方などをご紹介できればと思います。

IT人材の採用要件に変化が起こっている

第1回のトピックは、「IT認定資格が必要なわけ」をご紹介します。今回は、特にIT人材の採用にフォーカスしてそのわけを見てみたいと思います。

さて、米国で「Big Tech」と呼ばれる企業、日本では「GAFA」といったような言い方をしますが、(Facebook社が社名を変更したので、既にこの呼び方が正しくなくなってきましたが、なじみのある言葉としてこのまま使用します。)このような企業がIT人材を採用する際に、変化が起こっていることをご存じでしょうか。

Google, Apple and 12 other companies that no longer require employees to have a college degree
(Google、Apple、その他の12の企業は、採用の要件に学位を求めなくなった)
関連ページはこちら

この記事が2018年の記事ですので、おそらくこの時以上に、この傾向が高くなってきているのではないでしょうか。また、CompTIAが実施した調査でも、下記のような傾向が発表されています。

  • 米国労働統計局によると、米国のITワーカーの約4分の1(26%)は学士号以上を取得していません。
  • CompTIA認定候補者の約3分の2(69%)は、4年間の大学の学位を持っていません。(出典:CompTIA Post Exam Survey、2018年第1四半期)
  • 2017年に調査された230万件のIT求人情報のほぼ半分(49%)は、候補者の最低要件として4年の学位をリストしていません。(出典:CompTIA Employer Perception Study)

このような流れがある中で、採用される側、採用する側にとってIT認定資格はどのように役立つのでしょうか。

IT認定資格が必要とされるわけ

まずは、採用される側にとってのIT認定資格が必要となるわけを見てみましょう。

IT求人の大部分が、学位に代わって求めていることは、そのポジションでの仕事ができるためのITスキル、経験値です。そのため、自身のスキルを表現、もっと言えば証明をする必要があります。そして、認定資格の最も大きな役割は、「スキルの証明」です。
具体的にみてみましょう。認定資格には、必ずどのようなスキルを評価する認定資格かという定義がされています。例えば、CompTIA Network+というネットワーク業務を行う方向けの資格では「ネットワーク業務における9~12ヵ月のネットワーク業務経験値を評価」と定義されています。※1
そして、この定義に合わせてCompTIAでは出題範囲といわれる試験の出題内容が策定されています。

IT認定資格は、自身が業務にふさわしく、必要とされる知識やスキル、経験を備えているかを表現する第一歩となるものなのです。

では、採用する側には、どのようなメリットがあるのでしょう。
言うまでもなく、「スキルが証明されている」ことが最大のメリットです。どんなスキルを持っている人材なのかを明確に理解することが可能となります。これは、企業における業務と人材のミスマッチを防ぐことにつながります。そのため、CompTIAの調査では、実に企業の80%近くが、認定資格を取得しスキルを証明することが重要であると回答しています。※2
ミスマッチを防ぐことにより、業務の生産性が上がることはもちろんのこと、社員の満足度が高まり、ひいては社員の定着率が高くなることが報告されています。

日本国内でも「ジョブ型採用」が進んできているといわれています。従来のように一括で新卒の学生を採用し、それぞれの職務に割り振るという考え方から、職務に応じて適切な人材を採用するという考え方にシフトしてきています。ジョブ型採用のメリット、デメリットがいろいろと議論されていますが、採用の方法の変化に対応できるよう、自身のスキルをブラッシュアップし証明することは、将来的のキャリアに差がつくかと思います。

※1 試験のバージョンにより、定義が異なる場合があります。
※2 Evaluating IT Workforce Needs ~ITワークフォースのニーズを評価する/日本サマリー

IT人材として採用されるポイント

今回のコラムでは、採用される側、採用する側から「IT認定資格が必要なわけ」をご紹介しました。最後に、これからIT業界でのキャリアを目指そうとする方に、CompTIAが提言しているIT人材として採用されるトピックスをご紹介します。

1.IT認定資格
IT人材を採用する際に、求職者の履歴書で最初に探すものの1つとして挙げられているのが、IT認定資格です。IT認定資格は、エンジニアとして成功するために必要なテクニカルスキルを証明することができます。

2.ソフトスキル
一方で、採用企業は、テクニカルスキルはIT認定資格を活用することで、採用後に必要とされるスキルを習得させることができることも理解しています。そのため、求職者が、チームとしてうまく機能するか、専門スキルを適切なコミュニケーションスキルで提供することができるかといったソフトスキルも重要視されています。
CompTIAで調査したIT人材に求められるソフトスキルトップ10は、下記の通りです。
・コミュニケーション
・組織
・分析能力
・創造性
・プロジェクト管理
・忍耐力
・問題解決
・機知
・好奇心
・他者への協力

3.学ぶ意欲
ITは急激な速さで絶えず変化をしているため、ITプロフェッショナルは生涯学習者でないといけません。目指すキャリアとスキルセットを想定し、それに向かって絶えず成長することで、長く活躍できるITプロフェッショナルとなることができます。

4.IT経験値
どのITプロフェッショナルも、突然、ハイレベルな業務をこなしているわけではありません。エントリーレベルの業務から、経験値を積み、自身にあったキャリを模索しています。様々な形でエントリーレベルからコツコツ経験値を積む場を探してみましょう。インターシップなどIT経験値を踏む場があれば、参加をお勧めします。

筆者紹介

吉村 睦美
CompTIA マーケティング ディレクター
SI企業の営業、米国大手コンサルタント企業などを経て2005年よりCompTIA日本支局にて、認定資格の普及啓蒙のためのマーケティングを担当。認定資格を利用したITに携わる人材の発展のため、様々なプロモーション活動を行う。